アンティパスト
メガネ置きです。
先日、イタリア人の友達にカレーライスを作ってあげる機会があったのですが、その食事の場で感動したことがありました。
今回は、そのことについてお話しします。
コースの文化
カレーライスの食材を買いに行った時に、イタリア人たちがカレーライスを作るには必要ない食材をたくさん買い込んでいたので、何に使うのだろうと不思議に思っていました。
料理が始まり、私を含む日本人チームが野菜やお米の下準備に取り掛かる中、イタリア人チームは、そのカレーライスとは関係のない食材を使って、何かを作り始めました。
カレーライスは、ルーを煮込んだりお米を炊いたりと調理に時間がかかるため、彼らの作っていたものが先に出来上がったのですが、それがこちらです。
彼らが作っていたのは、ツナとケーパー(写真左)、トマトとオリーブオイル(写真右)のバゲットで、いわゆる「前菜」でした。
今回の食事の主役を私たちのカレーライスとしたうえで、それが出来上がるまでに食べられる軽いおつまみとして、作ってくれたものでした。
カレーライスを煮込んでいる間に、買ってきた日本酒やビールなどを開け、先に乾杯してそれらをいただいたのですが、シンプルながらとても美味しく、そして何よりも、前菜を作るのが当然というような彼らの手際の良さに感動しました。
イタリアの食事には、コースの文化があります。
そのコースは、主に①アンティパスト(前菜)、②プリモピアット(パスタやリゾットなど)、③セコンドピアット(肉料理や魚料理などのメイン)、④ドルチェ(デザートやコーヒーなど)の順番で構成され、リストランテのメニューや祝祭日の家族の食事など、様々な場面で見られます。
しかし、外食時には必ずしもそのコースに沿って注文する必要はなく、アンティパストを飛ばしてプリモピアットを頼んだり、セコンドピアットだけを頼んだりと、好みや空腹の度合いに合わせて自由に注文できるので、ご安心ください。
そして、コースの幕開けにあたるアンティパストには、鮮やかな見た目と塩味や酸味を効かせた味付けによって食欲を増進させ、プリモピアット以降の食事をより美味しく食べられるようにする効果があるそうです。
カレーライスの付け合わせとしてではなく、カレーライスを万全の状態で迎えるための引き立て役として、そのバゲットたちは私たちのお腹の中に収まってくれました。
ささやかでカジュアルな食事の場でしたが、イタリアのコース文化の一部であるアンティパストを体験することができ、とても嬉しかったです。
ちなみにこの後、イタリア人の友達のお母さんが焼いてくれたチョコレートケーキが、ドルチェとして登場しました。
イタリア料理のコース文化は、最高の食事の形だと思います。