ポンペイ観光記
メガネ置きです。
ナポリから電車で約30分、時が止まった古代都市、ポンペイを訪れました。
今回は、その様子についてお話しします。
自然の脅威を体感する
まず、ポンペイの歴史について簡単に説明します。
もともとは紀元前7世紀頃に成立した集落が起源とされ、やがてローマ帝国の支配下に入り、帝国への荷物の運搬やワイン醸造の拠点として栄えていたと言われています。
しかし79年8月、近くのヴェスヴィオ火山の大噴火による火砕流に呑み込まれ、町は住民共々一瞬にして地中に埋もれてしまいました。
その後同じ場所に町が造られることはなく、1748年の再発見をきっかけに、ポンペイの全体像を明らかにするための発掘作業が開始されました。
幸か不幸か、ポンペイを一瞬で全滅させた火砕流・火山灰が町全体を隙間なく埋め尽くしたため、建造物や壁画、その他の遺品が当時の状態に限りなく近い形で保存されていました。
発掘された町は当時の人々の暮らしを細かに伝えており、食事がそのまま残された一般家屋や、居酒屋、浴場、円形劇場などの施設、上下水道の遺構などが確認され、噴火直前のポンペイの生活はかなり豊かであったと考えられています。
発掘作業の成果によって、現在私たちはポンペイの町の中を散策することができるようになりましたが、遺跡を地上に晒すことによる代償も少なからず現れており、いくつかの建造物が倒壊してしまいました。
ポンペイは近隣の遺跡群と共に、「ポンペイ、ヘルクラネウム及びトッレ・アンヌンツィアータの遺跡地域」としてユネスコの世界文化遺産に登録されており、国内外から多くの観光客を集めています。
ナポリから電車でポンペイに行く場合は「ヴェスヴィオ周遊鉄道(Circumvesuviana)」を利用すると便利なのですが、私がポンペイを訪れた日の午前中はタイミング悪くストライキが行われていたため、第2候補であるTrenitaliaの電車を利用しました(帰りは周遊鉄道に乗れました)。
ヴェスヴィオ周遊鉄道とTrenitaliaでは、同じナポリからでもそれぞれ発着駅が異なるので注意してください。
私は今回ポンペイ遺跡のみの見学で、混雑を避けるために前日にネットでチケットを買っておいたのですが、手数料込みで16.5€でした。
では、いざポンペイへ!
…ポンペイ。見渡す限りの古代遺跡にテンションが上がります。
ポンペイ遺跡は9つのエリアに分かれており、全部合わせると非常に広大なので、あらかじめ見たい箇所の目星をつけておき、見学ルートを決めておくと効率が良く回れます。
…道にはこのような大きな石が置いてあり、横断歩道のような役割を果たしています。
…本当に、当時の建物や壁画がよく残っています。
…少し高い所に登ると、ポンペイが大規模な都市だったということに改めて気付かされます。
…円形闘技場。
…浴場。
…フォロ広場。当時はここで集会なとが行われていたそうです。その向こう側からは、かつてポンペイを壊滅させた張本人であるヴェスヴィオ火山が顔を覗かせていました。
…出土品の展示。降り積もった火山灰の中で人々の遺体は腐敗消失したため、その空洞部分に石膏を流し込むことで、噴火直後の人々の姿を再現することが可能になりました。実際に目の当たりにすると、かなりショッキングでした。
…円形劇場。
…神殿。
ポンペイを歩いていると、これだけの規模の町をたった一夜で全て消し去ってしまった、火山の噴火という自然災害の恐ろしさをひしひしと感じます。
今から2000年近く前にこれほどの都市が存在していたというのも驚きですが、それをいとも簡単に捻り潰した自然の脅威を考えると、本当に途方も無い規模だと思います。
今回のポンペイ観光は、途中で熱中症のような症状になってしまったため見られなかった箇所もありましたが、非常に印象深いものになりました。
皆さんも夏にポンペイを訪れる際は、暑さや紫外線への対策を忘れずに、魅力的な古代都市の探検を楽しんでください。